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ノマルスキー微分干渉

ノマルスキー微分干渉(偏光干渉) ノマルスキー微分干渉は、被検対象にコントラストがない場合や、微小な段差情報を検出する際に有効な手法です。生物顕微鏡や、金属顕微鏡に多くオプションとして機能を搭載されており、位相差顕微鏡やコンフォーカル顕微鏡に比べシステム構成が簡便なのもメリットと言えます。 微分干渉(偏光干渉)を説明するために、まず偏光プリズムと複屈折について説明します。 【偏光子】 無偏光の光速から、特定偏光を取り出す光学部品を光学素子と呼びます。直線偏光を得る素子として、結晶の複屈折を利用する方法(プリズム系)、光二色性を利用する方法(PVAシート)などがあります。 【偏光プリズム】 複屈折性結晶に、光を通すことにより、直線偏光を得る光学素子です。偏光ニコルプリズムは方解石の自然結晶(現在は人工結晶)を、光学軸と主断面における頂角が68°となるように研磨し、主断面に垂直な面で二分し再接合したものです。プリズムに平行に光を入射させると、その光は複屈折により常光線と異常光線にわかれて進む特性があります。 【偏光干渉】 光を干渉させる為には、同一光源から出てくる光を二分割し、それを再び重ね合わせることが必要です。異なる光路を通った波面を再び合成し干渉を引き起こす方法を偏光干渉と呼びます。 図のような構造がノマルスキー微分干渉の代表的な構成です。  

日本顕微鏡工業会 資料より
  1. 光源をでた光線はポラライザーと呼ばれる偏光子に当たり直線偏光が取り出される。
  2. ミラーに反射された後、対物レンズに落射照明され偏光二コルに入射し複屈折作用により光線が二分割されます。
  3. 対物レンズで平行光線となった光線は被検物にあたり同行路で反射し戻りますが、この際被検物の高低差により光線の振幅に位相差が生じる現象が得られます。
  4. その後、偏光二コルに再入射し、ひとつの光線に合成されます。この際同位相の振幅は強め合うが、逆位相のものは弱め合い、消えるものある事により、コントラストが強調されます。
  5. 干渉を起こした光線がアナライザーに入射し、直線偏光だけにトリートメントされ結像レンズへと向かいます。

偏光ニコルを、ノマルスキープリズムと呼ぶ事も多く、上記構成をとっているシステムをノマルスキー微分干渉と呼びます。計測には不向きですが、視覚的に段差情報を認識したい場合に非常に有用な干渉計測法といえます。