機械設計では、光学設計者より設計されたレンズ・ミラー等の空中に浮いた状態の光学部品を、どう具現化(製品化)するかを設計します。その際には光学性能・仕様を満足させるため、レンズの偏芯・迷光・環境(温度)・振動・耐久性・面精度・調整機構・全体の配置・コスト等、様々な要素を検討します。また、組立や調整の方法をイメージし、品質を確保するためにどのように検査するか等、現実の製品が完成するまでのあらゆる工程を想定して、設計に取り組んでいます。
時には実現化不可能な光学設計の要求もありますが、その場合は、どのような打開策があるか、光学設計者とコミュニケーションを密にとり、難しい課題に対しても一つひとつ解決しながら設計を進めます。そのような丁寧な積み重ねこそが肝要です。いかに優れた光学系の設計がなされていても、それを現実的な構造として成立させるには、優れた機械設計と機械構造が欠かせません。光学設計を生かすも殺すも、「光学と機械構造の連動性」にかかっているのです。
「見えない光」を操る光学設計、「見えないほどに精密な精度を実現する」機械構造。その異なる分野の設計が綿密に折り重なることで、はじめて優れた光学ユニットやレンズが生まれるということを、私たちは熟知しています。